【スキル相伝】強相関物質の電子構造計算 B01 是常グループ(東北大) →岡山大学大学院環境生命自然科学研究科(B01大槻グループ) (2026年6月29日〜7月3日)

東北大学の物性理論研究室(B01是常グループ)にて、是常教授および所属学生の渡辺夏向氏(M2)のご指導のもと、DFT+DMFT法(※)における電荷自己無撞着(charge self-consistent; CSC)計算について学びました。
私は現在、DFT+DMFT法を用いて多極子秩序の研究を進めていますが、強相関物質の電子状態を正しく評価する上で、CSC計算の必要性を強く感じていました。そこで、その開発を精力的に進められている是常グループにて、計算手順の習得に取り組みました。実際の計算作業では、独立に開発されたDFTとDMFTのパッケージを連携させるハードルの高さを実感しました。しかし、渡辺氏を中心とした手厚いご指導のもと計算を進め、従来のワンショット計算から明確に変化した電子状態を確認した際には、CSC計算の威力とその重要性を再認識しました。さらに、滞在中の研究室の皆様との議論を通じて、既存の大規模プログラムとの向き合い方など、本手法の習得にとどまらず、今後の研究活動の大きな糧となる学びが得られました。
今後は、ここで習得した手法を研究に活用することで、多極子秩序の予測精度の向上を図るとともに、補正された電子状態を基盤として、より多様な物性評価に展開したいと考えています。さらに今回の研究室滞在をきっかけとして、私が所属する大槻グループと是常グループにおける学生間の研究交流がこれまで以上に深まり、連携や議論がより一層活発になれば大変嬉しく思います。最後に、貴重なお時間を割いて温かくご指導くださった是常教授、渡辺氏をはじめ、物性理論研究室の皆様に心より感謝申し上げます。
岡山大学大学院環境生命自然科学研究科(B01大槻グループ) 沼 昂輝(博士後期課程3年生)
(※)DFT+DMFT法:密度汎関数理論(density functional theory; DFT)と動的平均場理論(dynamical mean-field theory; DMFT)を組み合わせた強相関物質の電子構造計算法。
※「スキル相伝プログラム」とは?
本領域(アシンメトリ量子)では、国内の他研究機関に短期滞在して、精密測定技術や数値計算技法、 物質合成等の現場の技術を学んで共同研究を促進する国内留学活動、また海外の研究室に 1∼2ヶ月ほど滞在して共同研究や自身の研究の基盤作りを行う海外派遣を支援します。