概要

　固体中のフォノンは結晶を構成する原子の振動であると教科書には書かれている。実は一般の波数、ないし対称性の低い結晶の場合には、フォノンは一般に原子の回転運動を伴うことが知られており、原子は楕円軌道を描く。こうしたフォノンをカイラルフォノンと呼び、角運動量を伴うため磁性との結合が期待される。本講演ではこのカイラルフォノンに関する基礎的な性質を説明した後、磁性との結合現象について我々の研究成果を中心に解説する。

 L. Zhang, Q. Niu, PRL 112, 085503(2014)
 M. Hamada, E. Minamitani, M. Hirayama, S. Murakami, Phys. Rev. Lett. 121, 175301 (2018)
 M. Hamada, S. Murakami, Phys. Rev. Research 2, 023275 (2020)
 T. Zhang, S. Murakami, Phys. Rev. Research 4, L012024 (2022)
 D. Yao, S. Murakami, Phys. Rev. B 105, 184412 (2022)
 D. Yao, S. Murakami, J. Phys. Soc. Jpn. 93, 034708 (2024)

問合先：井澤 公一
izawa@mp.es.osaka-u.ac.jp （編集済み）