イベント

第6回 アシンメトリ量子セミナー 田端千紘氏
@北海道大学

終了
2024/ 01/ 16

日時: 2024年1月16日(火)17:00~18:00
場所: ハイブリッド 北海道大学 理学部2号館 2-211 &ZOOM(オンライン)

講演者:  田端 千紘(日本原子力研究開発機構・研究員)

講演題目: 放射光X線と中性子散乱の相補利用を通した局所反転対称性のないf電子系化合物の研究

概要

希土類元素やアクチノイド元素を含んだ化合物では、不完全殻のf電子が担う多様な磁気秩序や多極子秩序が現れることが知られている。これらの磁気秩序や多極子秩序は、系がもつ対称性と密接に関連し、電気・磁気交差相関現象をはじめとした新奇物性発現の源となっている。カゴメやハニカムなど、磁性イオンサイトに空間反転対称性がない系は、このような物性の宝庫であり、近年盛んに研究が行われている。例えば、UNi4Bでは磁気秩序に伴う時間・空間反転対称性の消失に起因して、金属にもかかわらず電気磁気効果が現れる。カイラル磁性体であるEuPtSiでは、非常に短周期の磁気スキルミオン秩序が現れ、そこでは巨大な輸送特性異常が生じる。こういった電子秩序構造の微視的情報を得るためには、中性子やX線などの量子ビームによる回折・散乱実験が不可欠である。講演では、上記の化合物に加え、我々が最近取り組んでいるカゴメ構造やハニカム構造を有するf電子系磁性化合物について、中性子とX線の相補的な利用を通して電子秩序を観測する研究例を紹介する。

世話人: 網塚 浩(北大理)