【スキル相伝】共鳴X線回折実験 A01松村グループ(広島大学) →C01鬼丸グループ(広島大学) (2024年11月3-7日)
終了
2024/ 11/ 03 – 07
Eu化合物の磁気構造を決定するために、広島大学の松村 武 教授(計画研究A01)のご指導のもと、茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機(KEK)PF BL-3Aにて共鳴X線回折実験を行いました。Euは中性子の強い吸収体であるため、中性子回折による磁気構造の決定は困難です。そこで、共鳴X線回折を用いて偏光解析により磁気構造を決める手法の習得を目指しました。
今回の実験で強く感じたことは、事前に実験室で準備することの重要性です。今回のセットアップでは、結晶の主軸を散乱面に対して±3°の範囲に収めつつ、試料の表面を鏡面研磨する必要がありました。そこで、単結晶サンプルを回転させて、複数の方向からX線ラウエ写真を撮ることで、軸の傾きを正確に評価しました。
KEKでの実験では、共鳴X線回折のための回折計の巨大さに驚き、またそれを自在に操る松村教授に圧倒されました。事前に準備していたサンプルをセットして磁気反射の探索をスタートし、幸いにも、ビームタイムが終了する15分前に磁気反射を発見できました。この磁気反射が転移温度以上になると消えることを確認できたときは、とても興奮しました。今後の実験で、偏光解析によって磁気構造を決定していく予定です。
広島大学大学院先進理工系科学研究科(C01鬼丸グループ) 鈴木 大斗 (博士課程後期2年)
※「スキル相伝プログラム」とは?
本領域(アシンメトリ量子)では、国内の他研究機関に短期滞在して、精密測定技術や数値計算技法、 物質合成等の現場の技術を学んで共同研究を促進する国内留学活動、また海外の研究室に 1∼2ヶ月ほど滞在して共同研究や自身の研究の基盤作りを行う海外派遣を支援します。