イベント

第18回 アシンメトリ量子セミナー 戸川 欣彦 氏@Zoom (阪大基礎工から中継)

終了
2026/ 07/ 29

日時: 2026年7月29日(水)16:50
場所: Zoom (阪大基礎工から中継)

講師:  戸川 欣彦 氏(大阪公立大学 大学院工学研究科 電子物理系専攻・教授)

題目 :カイラリティと物質科学

概要

物質科学の醍醐味の一つは物質中の電子やスピンやフォノンの協奏がもたらす巨視的応答の発現である。その鍵となる概念の一つとして物質が示すカイラリティが挙げられる。カイラリティとは、鏡像異性体に見て取れるように、 ある像に鏡映操作や空間反転操作して得られる像と元の像は同一であるが、 回転操作と並進操作だけでは重ならない対の形態を意味する。 カイラリティが関連する現象は分子から生体系まで自然界のさまざまなスケールで思い浮かべることができる。その特徴を考えてみると、幾何学的な関係を意味するだけではなく、動的な特性を併せ持つことに気が付くであろう。例えば、らせん構造では回転と並進が結び付いている。 このような動的な特性を理解するにはローレンス・バロンが与えた再定義「カイラリティとは時間反転操作に対して不変な擬スカラー量」が有用である。この対称性を持つ相互作用は微視的なカイラル項として働き、 カイラル物質に特有のダイナミクスを誘起しうる。本セミナーでは、このような観点からカイラリティと物質応答の関係を整理していく。具体的には、カイラル磁性、カイラリティ誘起スピン選択性(Chirality-Induced Spin Selectivity:CISS)、 カイラルフォノンなど動的なカイラル現象を題材として物質中におけるカイラリティの意義を論じたい。