【アウトリーチ】 「物質探査と超伝導体が拓く未来」
SSH特別講義「物質探査と超伝導体が拓く未来」を愛知県立一宮高等学校で実施してきました.
題目:「物質探査と超伝導体が拓く未来」
講師:大原繁男 名古屋工業大学 教授 / 計画研究C01代表
日時:2025年12月4日(木)
2・3限( 9:55~12:15)4,5組
4・5限(12:55~15:15)1,2,3組
場所:愛知県立一宮高等学校 桃陵館
対象:3年生(物理選択,1〜5組,186名)
概要:前半は,なぜ物質探査をするのか,物質の性質はどこから生じるのか,1立方センチメートルの固体はいくつの原子でできているか,温度とはなにか,を考えます.
物質探査の意義は,ブレインストーミングとして,できるだけたくさんの意見をだしてもらいました.新しい物質が新しい機能を生む,ということ以外にも,興味があるから,楽しいから,名誉やお金のため,といった意見が出てきます.どれも大事だね,と物事にはいろいろな面があることも意識してもらいます.物質が世界を変えた例としてpn接合を提示します(アシンメトリの例としても話しています).電子計算機の進化の話をして,情報化社会という今があることに気づいてもらいます.
続いて,物質が性質を生む例として,ナトリウム金属と塩素ガスの性質を紹介したうえで,塩化ナトリウムになると,また新たな性質となる不思議を考えています.さらには,気体や液体から固体となることで対称性が下がり,物理的性質が現れることや,基底状態や相転移について講義します.
後半は,液体窒素を寒剤として「酸素の液化」とYBCOを使った「浮き磁石の実験」をしました.写真は浮き磁石の実験のようすです.液化酸素が青いことやネオジム磁石につくこと,超伝導転移にともなってネオジム磁石が浮き上がるようすを見て,高校生からは思わず歓声があがります.
今年は実験に加えて北大の網塚先生と柳澤先生による超流動の実験動画もみてもらいました.浮き磁石と超流動は目で見ることができる巨視的な量子現象と紹介します.実験を終えてから,超伝導の歴史や性質,応用について簡単に話しました.今年が国際量子科学技術年であることやノーベル物理学賞も量子現象であったことも講義の導入部分で話しています.
授業アンケートのコメントで「マイスナー電流の原理をもう少し詳しく知りたかった。また、超流動の熱伝導性に関する話も深掘りしてほしかった。」というものがありました.よく聞いているなと思いつつ,簡単には答えられないな,と力不足を感じているところです.
