第8回アシンメトリ量子セミナー 矢治 光一郎 氏 @大阪大学
日時: 2024年4月25日(木)15:10~
場所: ハイブリッド 大阪大学大学院基礎工学研究科 B103講義室&zoom配信
講師 : 矢治 光一郎 氏
国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)マテリアル基盤研究センター
題目 : 顕微スピン分解光電子分光装置の開発とトポロジカル物質のスピン偏極電子状態研究
概要
新規材料開拓やデバイス設計を目指す上で、機能発現の鍵となるフェルミ準位近傍の電子状態を明らかにすることは重要である。スピン分解光電子分光は物質のスピン偏極電子状態を観測できる実験手法で
あり、スピンを利用した材料研究に有用である。これまで我々はエネルギー分解能と運動量分解能において世界トップの実験装置を開発し[1]、電子物性研究分野の発展に大きく貢献してきた。一方、近年の量子材料やスピントロニクス材料の開発では、数マイクロメートル以下の局所的な電子状態を計測することが求められている。しかしながら、これまでこのような高い空間分解能でスピン分解光電子分光に成
功している例はなかった。最近、我々はサブマイクロメートルスケールの空間分解能を有する顕微スピン分解光電子分光装置の開発に成功した[2]。また、イメージング式スピン検出器も開発し、スピン分解光電子分光のデータ収集効率を従来型装置と比較して4桁向上させた。本装置を用いることで、従来のスピン分解光電子分光では測定が不可能だった微小材料や不均一材料のスピン偏極電子状態測定への展開が期待される。
[1] K. Yaji et al., Rev. Sci. Instrum. 87, 053111 (2016).
[2] K. Yaji et al., Sci. Technol. Adv. Mater. Meth. 4, 2328206 (2024).
問合先:関山 明
E-mail: sekiyama.akira.es (at) osaka-u.ac.jp