第3回 アシンメトリ量子セミナー 松原正和(東北大)@大阪大学
日時: 2023年11月14日(木)15:10~
場所: 阪大基礎工B102講義室 & ZOOM(ハイブリッド)
講演者: 松原正和 先生(東北大学大学院理学研究科・准教授)
講演題目: 非線形光学を用いた物性探索とメタ光スピントロニクス
概要
物質が示す様々な機能は、そこに内在する電子自由度の対称性と密接に結びついている。本セミナーでは、物質中の様々な秩序や対称性の高感度検出、および、対称性の人工操作による新機能創出に焦点を当てる。 磁性体、強誘電体、さらには両者の性質を併せ持つマルチフェロイック物質などの電子機能性物質において、その機能性の多くは物質における対称性の破れに起因し、その機能的電子物性を理解するうえで、如何なる対称性の破れが生じているか、また、結果として生じる空間的な不均一構造であるドメイン
構造を明らかにすることは必要不可欠である。この対称性の破れを検出する強力な手法の 1 つが、光第二高調波発生(SHG)を主とした非線形光学分光である。
本セミナーでは、「非線形光学」と「対称性」をキーワードに、物質機能を検出および創出する概念について、最近の話題も含めて紹介する。セミナーの前半では、非線形光学のイントロダクションからはじめ、特に SHG を用いた秩序の検出と物性探索について紹介する[1-5]。セミナーの後半では、ナノ空間の対称性を人工的に操作した物質(メタマテリアル)を用いた新規スピントロニクス「メタ光スピントロニクス」について紹介する[6-8]。
[1] M. Matsubara et al., Science 348, 1112 (2015).
[2] S. Manz, M. Matsubara et al., Nat. Photon. 10, 653 (2016).
[3] 松原, 望月, 木村, 固体物理 51, 173 (2016).
[4] D. Sekine, …, M. Matsubara, Appl. Phys. Lett. 120, 162905 (2022).
[5] D. Sekine, …, M. Matsubara, Submitted.
[6] M. Matsubara et al., Nat. Commun. 13, 6708 (2022).
[7] M. Hild, M. Matsubara et al., Phys. Rev. B 107, 155419 (2023).
[8] H. Taketani, M. Matsubara et al., In preparation.
世話人:井澤 公一