イベント

「こんなアウトリーチやりました」C01 大原繁男氏

終了
2024/ 09/ 06

題目:人文・数理探究類型クラス「日本語からはじめよう」
日時:2024年9月6日(金)9:30~11:20
場所:兵庫県立長田高等学校 Astra Hall
参加者:人文・数理探究類型クラス 2年生40名

 神戸の長田高校で,論理的な文章の書き方の講演をおこないました.今回は参加者数が9班40名と活動しやすい人数だったので,演習形式にしました.私としても初めての試みです.
 演習の材料としては,生徒の探究活動の要旨を用いました.要旨は200字程度で,4〜5名の班ごとのものです.9班分をあらかじめこちらに送ってもらい,それを元に演習を組み立てました.
 最初に,なぜ文章を書くのかを班で議論して考えてもらいました.「自分の意見を相手に伝える」「記録を残す」「自分の考えをまとめる」という目的と機能がでてきました.自己紹介を含めて,ここまで20分くらいです.
 次に,自分たちの要旨が「高校生に伝わるか」を考えながら読んでもらいます(写真1).9班全部の要旨について,わからないところに,各自で印をつけてもらいました.自班の要旨でわかりにくい部分を発表してもらったうえで,他班からの意見も加えて改訂すべき部分が明らかとなりました.どの班の要旨も印だらけになりました.
 なぜわかりにくいのかを尋ねると「専門用語など読み手が知らない言葉を使っている」「具体性に欠く」「言葉の不足がある」と生徒たちは気づきます.そこで,わかりやすい文にするには,「不足を補い,重複や過剰を排除し,簡潔に書く」ことをやればよいと指導します.文は短く50文字くらいで書くように促します.論理文の場合には,感情的な内容も不要と教えます.ここまでで前半です.
 後半は要旨の最後の1文を改訂してみました.各自タブレットで文を作り直して,班ごとに改定案をホワイトボードに書きます(写真2,3).改訂案を私が添削して,よくなった部分については「いいね!」と言いながら,まだ不足,過剰,重複があること,未改訂な部分が残っていることを指摘しました.未改訂な部分は,書く内容の取捨選択や実験計画などが不十分なため書けない,ことに気づいてもらいます.論理的な文章を書くことで,自分たちの整理や研究の不十分さに気づけること,論理的な思考力が高まること,を話して,まとめとします.
 最後に,私の作成した改訂案も提示して,終了しました.この講演は4年目になるのですが,毎年,生徒の学習意欲の高さに驚きます.意見を求めると,どんどん手が上がります.今回は初の演習形式でしたが,生徒と話す機会が多くあり,楽しく過ごしました.長田高校の先生によると「日本語からはじめよう」以降,生徒の書く文ははっきり変わります,とのことでした.今回の演習もよかったと思いますとのことでほっとしました.
 だいたい予想通りの時間で講演は進みました.しかし,生徒からの質問を受け付ける時間が1,2分しかとれず残念でした.質問はアンケートに書いてもらうことにしたので楽しみです.質問に答えつつ,解説のスライドなど,必要に応じて送る予定です.