イベント

第15回 アシンメトリ量子セミナー 酒井 英明 氏@Zoom (阪大基礎工から中継)

終了
2026/ 06/ 19

日時: 2026年6月19日 (金) 13:30
場所: Zoom (阪大基礎工から中継)

講師:  酒井 英明 氏(東北大学、金属材料研究所・教授)

講演題目:  ディラック電子の制御・活用・創発に向けた量子マテリアルの開拓

概要

 グラフェンの蜂の巣格子など特定の対称性を有する結晶中では、電子が従う運動方程式が見かけ上ディラック方程式と等価となる。このような“相対論的”電子を、単純な金属だけでなく、磁性体や超伝導体など多様な量子機能を示す物質中で実現できると、多体効果とトポロジーが融合した新物性が期待される。これらの物質群は量子マテリアルと呼ばれ、次世代技術の基盤として大きな期待が寄せられているが、これまでは個別的な探索や発見に留まっていた。
 これに対し我々は、量子機能層とディラック電子層が自然に積層した超格子構造をもつ物質に着目し、層構造設計に基づく系統的な物質開拓を進めている。本講演では、まずこれまでに開拓してきた磁性体や極性金属を例に、高易動度のディラック電子伝導の制御や高機能化を紹介する[1]。さらに最近では、複雑磁気秩序や重い電子状態を示す量子機能層を有する物質の開拓にも取り組んでいる。これらの系では、従来の単純なディラック電子描像を超えたバンド構造を実現できる事がわかってきた[2,3]。本講演では、このような創発電子状態の物理と、それに由来する新しい輸送現象についても紹介する。

[1] HS, J. Phys. Soc. Jpn. 91, 101001 (2022). (Review).
[2] HS et al. Nat. Commun. 16, 11112 (2025).
[3] A. Yamashita, HS et al. J. Am. Chem. Soc (2026, accepted).